境界・筆界について


はじめに 

筆界論を概念的に語る方が多い、いや!殆どの方がそうです。ここでは筆界は図面と現地はあれば数理的に最小二乗法と統計法を使って復元出来る、このことを前提に考えてみました。

 今多くの方が使っている算数的な手法はあまりにも幼稚な上、それに制度論をかぶせた手法になっており多くの方に説明出来ない部分があります、「確率と最小二乗法による境界復元」を使えばこれらの矛盾点を解消出来るのではないかと考えています。

 同じことを語るにしてもそのバックグラウンドに何を持っているかによって大きく違います。以下に解説する内容は今までに目にした筆界論とは違った切り口になっているはずです。



境界とは筆界とは

不動産登記法によって区画された土地の境を境界又は筆界という、不動産登記法123条には「表題登記がある一筆の土地(以下単に「一筆の土地」という。)とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。以下同じ。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう」と定められており、一般的には境界と呼び、不動産登記法では区画された土地の単位を筆で表すことから登記の専門家は筆界と呼ぶことが多い。

区画された単位毎に番号を付し、登記記録(登記簿)が作成され土地の所在、地目、地積(面積)、所有権、その他の権利等が記録される。この情報は登記記録として公示され誰でもその情報を法務局(登記所)から入手出来る。

法学上、「筆界は公法上のものであり何人も変更することはできない」とされており上記の条文が平成16年に不動産登記法に追加されたことで法律的に明文化された。不動産登記法第14条では筆界を現地に特定させる為の地図を備えることになっている。<以下条文の抜粋> 第14条 第1項「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。」第3項「第1項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる」第4項「前項の地図に準ずる図面は、1筆又は2筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。」 となっており、141項に該当する地図を「14条地図」といいます。

これらのことからその土地の位置、利用状況、誰の所有で有るかなどが把握出来、土地の取引の安全が図られる。

土地が登記された時とはいつ

明治政府が土地の所有権を認めたことにより所有権境界ができました、この所有権境界を明治6年から15年にかけて測量してできたのが改組図(公図)と言われるものです、その後測量精度の低い地域を明治20年から22年頃にかけて再度測量し直したものが更正図(公図)と言われるものです。この時に確認された所有権境界が筆界と言われるものの始まりです、この時の筆界の特徴は所有権境界を確認して測量したものであるという点です。この時の筆界を原始筆界と呼び公図(改祖図、更正図)は原始筆界を表した図面です。その後、土地の利用形態によって土地の分割が行われます、この時の分割点又は線を創設筆界と呼びます。昭和35年以前の土地台帳の時代は分筆申告図を添付して、35年以降の土地登記簿の時代は地積測量図を添付して土地の分割が行われました、分筆申告図、地積測量図が創設筆界を示す図面になります。さらに、土地の有効利用の点から区画整理、耕地整理、土地改良が行われました、それまであった筆界を無くして新たな筆界=所有権界を形成したものです、これを後発的原始筆界と呼びます、区画整理図、耕地整理図、土地改良図が後発的原始筆界を表す図面になります。

このことから原始筆界は土地台帳に登録されたとき、創設筆界は分筆登記が完了した時、後発的原始筆界は区画整理、耕地整理、土地改良の結果が登記にされた時になります。

なぜここで3つに分けて説明したか、筆界は14条地図が完備されていない、または完備されていても時代によって土地所有者の求める精度に満たない場合があり、筆界が形成された時の図面(分筆申告図、地積測量図、区画整理図、耕地整理図、土地改良図等)が筆界を表す重要な資料となっていることによります。なかでも資料となっている図面が14条地図より精度が高い場合は筆界復元の重要な資料なります。そこで、筆界が形成された時(登記された時)の資料により復元する必要が生じたときは筆界の種類により復元方法が異なってきます、さらに不動産登記法14条3項にある地図に準ずる図面では分筆登記が完了すると原始筆界、後発的原始筆界の図面(公図と言われるもの)に創設筆界が書き込まれますがこの線は按分で画かれたものが多く、原始筆界、後発的原始筆界が形成された時の実測の値とは必ずしも強い関係がない事に注意することが必要です、つまり不動産登記法14条地図を除いて創設筆界は公図から復元しても精度の高い復元が出来ないので筆界が形成された時(登記された時)の資料により復元する必要があります。 

14条地図は完備されていないか完備されていても精度が低い場合は過去の資料から復元しなければならないことは当然です。 さらに不動産登記法123条で筆界の条件として「当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう」となっており現実に管理されている境界標であっても資料に基づいて復元計算した上で一致、不一致の確認が要求されていると解釈されます。(実際の例は復元事例120を参照ください)